B1 MAGAZINE

連載2026.10.02

「創作読書」という方法。

どうでしょう、本を読んでいますか?活字離れが叫ばれて久しいですが、誰もやっていないことをやり、誰も立っていない場所に立つということは「生成AIを起因とした正解過多がもたらす超コモディティ時代」において、ますます重要になります。つまり本を読む人が減っているのであれば、本を読むという行為の価値はあがっていきます。

さて、なんのために本を読んでいますか?暇つぶし、調べ物、趣味として。時代の空気をつかんだり、仕事のための知識を得るためという方もいるでしょう。手段のための読書、目的としての読書、人の数だけ読書スタイルはあります。

ちなみに私は「創作読書」をよくします。アイデアを考えるときには、まず問いがあり、その先に目的があります。問いと目的というバンズに挟まれている具がアイデアなのです。

その際、思わぬインプットをしたり、道草をくったりすることが、意外なアイデアにつながることがよくあります。アイデアとは情報や知識、時間があわさった一つの「チーム」のことだからです。

なので、私は「問い」と「目的」があって、アイデアを考える必要があるときによく本を読みます。そのときに、どういう本を選べばいいか?それは余白が多い本です。

といっても詩集のように、行間たっぷりで、想像力が膨らむような余白という意味ではありません。物理的に余白が多い本です。読みながら、余白にどんどんと思考の種を書き殴れるような本です。だから創作モードのときには、書店に行き、表紙もタイトルも見ずにパラパラとめくり、「あ、メモを書くスペースが多そうだな」という本を選ぶようにしています。

これは本をアイデア帳として活用するという方法なんです。というと、「著者に失礼じゃないか?」と思われるかもしれません。でも5冊ほど本を出してきている立場のいち意見からすると、本は書き上げた瞬間から、読者の物となります。それが読者のアイデアを誘発するトリガーとなるのであれば、著者冥利につきます。

で、この「創作読書」の際に重要なのは、読書に没入しすぎないことです。あくまで問いを前提に、(アイデアのヒントはないかな)と探していく。主導権を本に明け渡すのではなく、自分の手元に持っておく。

実は、ビル構造になっているこのサイトも、意図的な創作読書の中で生まれました。全員バイブコーダー時代において、サクッとLPやサイトをつくるのは誰にでもできる。でも、何かこれまでにない新しい企画を入れられないか?結果、サイトというよりも別の何かをつくれないか?

そんなふわっとした問いやゴールを持ってニーチェに関する本を読んでいたんです。すると何かが発火したのか発酵したのか、気づいたらこんなメモを書いていました。

本の余白に赤ペンで書いたメモ。上下に並んだ「1F」と「B1」の四角いビルの断面図と、「生煮えクラブ」「バズりも炎上もない世界」「B1」「地下1階」という書き込み

そうか!私は情報をフルオープンにするのではなく、ちょっとだけ閉鎖的な場所をつくりたかったんだ!それは「地下室」みたいなものだから、サイト全体はビルというアナロジーで捉えればいいんだ!

そう。創作読書という行為があったからこそ、このサイトが生まれたんです。それもこれも、余白の多い本のおかげです。ちなみに、本を読みながら生まれたアイデアは古今東西山ほどあるはずなので、いつかそうした情報を収集しつつ、「芥川賞」「本屋大賞」ではなく「このアイデアはこの本から生まれました賞」みたいな賞をつくれたら楽しそうだなと妄想しています。

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